岡山市で山火事が発生してから23日で1カ月です。日常を取り戻した人がいる一方、まだ影響が残っている人もいます。
(宮川周三リポート)
「こちらの道路脇の斜面、ところどころに緑が見えるんですが、土を見ると黒く焦げています。こちらは、おそらく立看板だと思うんですが焼けてしまっています。まだ撤去されていません」
3月23日、岡山市南区飽浦で山火事が発生し岡山県で過去最大規模の約565haが焼け空き家と倉庫合わせて6棟に被害が出ました。けが人はいませんでした。
山火事によって景色は大きく変わってしまったものの地元の人たちの生活は落ち着きを取り戻したようです。
(火事現場近くの住民は―)
「火事の時は大変だったんですけど、普通です。普通の生活です」
「煙たさも何もないんで。普段の生活を取り戻しているっていうような感じですね」
一方で……
(農園を経営/清水八勝さん)
「スイカを栽培するためにみなやってきた。時間はみなそれに費やしてきた。片付けるなんかもう、眼中にない今」
岡山市南区宮浦で農園を営む清水八勝さん(77)。
山火事でビニールハウスなどが焼けました。復旧のための費用や時間に限りがある中で優先してきたのはスイカの栽培です。
(農園を経営/清水八勝さん)
「うちのスイカがおいしいと言うてくれる人がおる限りは、やっぱり提供せんことにはいけんから」
清水さんは17年ほど前からスイカやネギなどを育て、子どもたちに収穫体験をしてもらうなどの活動をしています。
清水さんが育てているスイカは楕円形で毎年、種をとって栽培してきました。2025年のスイカの種をまいたのは山火事が起きる2日ほど前でした。
(農園を経営/清水八勝さん・3月25日)
「種ないわ、どういうわけか、ない。ないな」
山火事発生の2日後、清水さんは土の中に種が残っていないか探しました。
(農園を経営/清水八勝さん・3月25日)
「出た。スイカの種が出た。うれしいなぁ」
見つかった種は約200粒。清水さんは翌日、改めて種をまきました。
(農園を経営/清水八勝さん)
「1カ月近くになるんだけどまだ芽が出てこんのよ。もう2~3日したらもう苗を買ってとりあえず植えようと思うわけ、スイカに関しては。(Q.何でですか?)もし出なかった場合のことを考えたら」
こだわりのスイカはもう育たないかもしれない。それでも今できることをこつこつと。
(農園を経営/清水八勝さん)
「いちるの望みを残して希望を捨てずに待ちましょう」
岡山県、岡山市、玉野市は今後の復旧や対策に向け、4月17日から本格的な現地調査を行っています。県は2025年度中に復旧計画を策定する方針で、燃えにくい木を植えることなどを想定しています。
(岡山県治山課/浅浦宏之 総括参事)
「なるべく早期に緑が復活するような計画。2次災害の防止に向けた計画にしていきたいというふうに考えております」
(農園を経営/清水八勝さん)
「(Q.こんな風景が戻ってほしいみたいな思いはありますか?)そこまで思いはいかん。もう自分の目先のことを……。市や県の復興計画、そんなものはよその世界の話」