視聴者の皆さんの疑問に答える「みんなのハテナ」です。今回のテーマは「方言」です。みなさんの「方言」に関する疑問にお答えします。
実家への帰省や久しぶりの友達との再会で、当時を思い出し、いつの間にか方言で話していた。そんな体験を味わった人もいるのではないでしょうか?
方言の始まりは?(とっとこ 倉敷市 40歳)
答えていただいたのは、長年方言について研究をしてきた岡山大学の吉田則夫名誉教授です。
(岡山大学/吉田則夫 名誉教授)
「気候風土の違い、それから農業・漁業の生業の違いがある。それから昔からの行政区分の違い。そういうものが混ざり合って、長い間に言葉もそれぞれ違ったものが生まれている」
吉田名誉教授によりますと、方言の誕生は地域や職業・コミュニティの違いなどによって段々とその場所で生まれてきた言語の違いだということです。
今の方言をさかのぼれるのは西暦1200年ごろから1600年ごろの「中世」ごろだということで、それより前にも方言があった可能性もあるということです。
(岡山大学/吉田則夫 名誉教授)
「例えば子どもは子ども同士で(つながる)子どもの言葉があるし、漁業者は漁業者でそういう言葉がある、どうしても差が出る、変化が出てくる」
日本に方言は何種類?(カレー星人 高松市 42歳)
(岡山大学/吉田則夫 名誉教授)
「47(都道府県ごと)というのが一番簡単な答え。でも岡山の場合では備前・備中・美作。江戸時代の国というのは70以上あったみたいですから、日本全国で言えばそれこそ70以上の方言があった」
吉田名誉教授によると、日本の方言の種類は70種類以上はあるとのこと。ただし、論文や研究によってコミュニティの区分の仕方が違うなど、はっきりと分けるのは難しいということです。
(岡山大学/吉田則夫 名誉教授)
「香川県は讃岐一国だけど、今の香川県でみれば東と西で言葉が違う。数えるのは難しい」
1つの単語をとっても方言になると、発音やアクセントが異なったり、岡山の「そうじゃなぁ」や、香川の「そうやけん」のように文末の語尾が変わってきたり……
また単語でも、岡山では当たり前に使われる書道などで書き始めに言われる「うったて」が全国では通じないなど、方言と一括りにしても変わるものに規則性はなく、さまざまだということです。
方言はなくなっていってる?(ひでちゃん 高松市 50歳)
(岡山大学/吉田則夫 名誉教授)
「方言という言い方は常に相対的なもの。ただ自然な生活語を話しているという、そういうものです。それを客観的に見れば互いに方言ということになる」
方言は「コミュニティの違い」などによって生まれた言語の違い。吉田名誉教授は、方言をその土地の地域の言葉という意味も込めて「地域言語」と表現しています。
そして吉田名誉教授は、昔に比べいろいろな場所に手軽に行け、どの土地の人とも簡単にコミュニケーションが取れるこの時代だからこそ、新しい方言が生まれてくる可能性もあるとしています。
(岡山大学/吉田則夫 名誉教授)
「改めて方言を使えとかそういうことは必要ないと思いますし、できないと思う。ただなるべく言葉は豊かの方がいいから、豊かさを方言は支えてくれているかなと思う」
(2025年8月28日放送「News Park KSB」より)