16日、政府は年金改革法案を国会に提出する見通しです。反発を恐れ、法案では厚生年金の積み立て金を使った基礎年金の底上げは削除されますが、基礎年金への依存度が高い、いわゆる就職氷河期世代への深刻な影響が懸念されます。
■基礎年金底上げを削除 野党「骨抜きだ」
立憲民主党 重徳和彦政調会長 「これでは就職氷河期世代を見捨てるようなもの。基礎年金の底上げが必要だ」
目玉だったはずの「低年金対策」が削除されることに野党は反発を強めています。
国民民主党 玉木雄一郎代表 「厚生年金に入れなかった、正社員になれなくて厳しい時代を一生懸命に生きてきた就職氷河期世代の方、年金額の低い方の最低保障機能をどう高めていくのか」
16日に閣議決定され、国会に提出される政府の年金法案。当初案では、いわゆる就職氷河期世代など年金の少ない世代への救済策が柱になっていましたが、目玉が削除されたことで「骨抜き」だと批判の声が上がっています。
■不遇の世代「ほぼあきらめている」
自営業 就職氷河期世代(45) 「(底上げ策)が始まるんだ、いつやるんだろうって思ったら『なくなったよ』みたいな話だったら、がっかりする。就職氷河期だったので(就職活動は)だいぶ苦労しました。(年金は)出るか出ないか分からない。自分で稼がないとなっていう感じ」
政治を当てにはできないと話す45歳の男性も、就職氷河期世代の一人です。就職氷河期世代とはバブル崩壊後のおよそ10年、雇用環境が厳しい時期に就職活動をした世代です。
現在、40代から50代前半ぐらいの人が当てはまりますが、それはまさに「不遇の世代」です。
団塊ジュニア世代が多く、10代を過ごした1980年代後半は過酷な受験競争を余儀なくされ、20代の1990年代はバブル崩壊で未曽有の就職難に直面。非正規雇用が増えました。
自営業 就職氷河期世代(45) 「契約社員みたいな形もあった。(今は)個人事業主なので国民年金。払うものは払うけど、年金はないだろうという前提」
別の男性も20年前の就職活動では買い手市場の壁に、挫折を味わいました。自営業や会社員、アルバイトなどを経て、今の会社に勤めています。
現在は正規社員 就職氷河期世代(44) 「2年ほど前に正社員として登用されました。今、物価高にもなっているので(年金は)安心して過ごせる金額が必要」
最近注目されている賃上げも若い世代に比べ、中高年層は低い傾向にあります。
厚生労働省がまとめた年代別の統計によると、新型コロナ前の2019年と比べて就職氷河期世代の50歳から54歳は、賃金の伸び率が5年間で2.9%と極端に低いことが分かります。
会社員 就職氷河期世代(43) 「当時の政治が今につながっているのは間違いない。仕方がないというか、ほぼあきらめています。今の政治では仕方がない、新しい政治にしてもらうのが一番いい」
(「グッド!モーニング」2025年5月15日放送分より)