今、SNS上では意図的に作られた嘘の情報や事実と異なる誤った情報による波紋が広がっています。去年の能登半島地震では、ニセの救助要請が全体のおよそ1割に上り、救助活動の妨げとなりました。
投稿された住所に住んでいた男性 「迷惑っていう言葉以外ないと思いますね」
石川県輪島市に住む男性の怒りの矛先は、能登半島地震の直後にSNSに投稿されたある“ニセ情報”です。
ニセの救助要請の内容 「旦那が足を挟まれて出られません。119も繋がりません」
ニセの救助要請とともに書き込まれていたのは、男性の自宅住所でした。
その後、実際に警察官が訪ねてきたといいます。
投稿された住所に住んでいた男性 「これデマですよっていう話はしました。僕たちみたいな(無事だった)人のために警察が何十人と動いて、もっと助かる命もあったんじゃないのかな。どういう基準で僕を選んだのか、この住所を選んだのか分からないですけど、迷惑ですよね」
情報通信研究機構がSNSを分析したところ、2016年に起きた熊本地震ではニセ情報と推定された救助要請は1件だけでした。
一方、去年の能登半島地震の直後に投稿された救助要請では、1091件のうち、およそ1割となる100件以上がニセ情報と推定されました。
増加の要因は“話題性”が優先され、注目を集めることで金銭的な利益が得られるSNSが社会に浸透したことだといいます。
情報通信研究機構 鳥澤健太郎フェロー 「いわゆる“言ったもん勝ち”。怪しい情報でも発信してしまう、それに対する抵抗が薄れている。嘘を言った時のペナルティーの重みというのは(昔より)減ってきている」
震度6強を観測した七尾市では、“ニセ情報”をもとに実際に消防が出動したこともありました。
こうしたケースが増え続けると、本当に助けが必要な人への救助活動ができなくなってしまう危険があります。
七尾鹿島消防本部 水口守司令 「(ニセ情報によって)大切な命を守ることができないことにつながる。特に能登半島地震のような時には、絶対にそういうことはやめてほしい」