オリンピック選手も輩出した名門運動部。20年以上も指揮を取ったベテラン監督が行っていたのは学生らへの詐欺でした。
■日大 重量挙部の元監督 逮捕
重量挙部OB 「学生の金に手を着けているというのは心底むかつきますよね。ありえない。教育者として」
怒りの矛先はトロフィーの前に座る男。大学選手権で何度も優勝してきた名門「日本大学重量挙部」の元監督・難波謙二容疑者(63)です。
難波容疑者は2022年12月に重量挙部に入部予定の学生の保護者から現金約205万円をだまし取った疑いが持たれています。
不正は20年以上前から行われていて、日本大学によりますと、被害総額は5000万円を超えるといいます。
利用したのは“奨学金制度”でした。
■日大・元監督“入学金詐欺”か
被害額200万円 重量挙部OB 「200万円ちょっと持っていかれてて。元々は奨学金で学費をある程度、免除されるという話だったが、その免除を適用するためには、まとまった頭金が必要ということで。当時、母は定期預金を解約して(頭金を)入れたと聞いている」
スポーツで優秀な成績を収めた学生を対象とした奨学金制度。種別によって入学金や授業料などが免除となります。
しかし、難波容疑者はこの制度に選ばれた新入生に「免除は2年目からである」と嘘の記載をした入学案内と請求書を送付。払う必要がない1年目の入学金などの名目で重量挙部の口座に入金させていたといいます。
重量挙部OB 「苦労して稼いだ金だと思うので、だまし取っていたのは許せない」
さらに、重量挙部のOBからは…。
重量挙部OB 「高級車は乗っていた。ある程度、稼いでいるのかな」
難波容疑者の暮らしぶりも明らかに。不正に手にしたお金を何に使っていたのでしょうか…。
■学生らだましたか 元監督の素顔は
10日、詐欺の疑いで逮捕された難波謙二容疑者。オリンピック選手を排出してきた名門「日本大学重量挙部」の元監督です。
重量挙部OB 「大学の教授なので、ある程度、稼いでいるのかなと」
難波容疑は不正に手にしたお金を何に使っていたのでしょうか。ある重量挙部OBは大会の時に見た監督の姿が印象に残っているといいます。
重量挙部OB 「大会の時ぐらいしか(監督を)見ないが、普通に高級車で来て、良い時計しているな、そんな印象。結構もうかっているなみたいな話は学生の間もあった。特にギラギラしているとか、そういう感じではない。持っているものは良いものを持っている印象」
警視庁によりますと、だまし取ったお金は難波容疑者が所有する車の点検やコーティング代、スーツ、香水、バッグの購入代、家族や知人などとの飲食代などに使われたとみられています。
日本大学は去年12月までに、58人に合わせて5300万円以上を返金したとしています。
重量挙部OB 「ちゃんと返金はされましたけども、電話でも何でも謝罪は欲しかった。私は日本大学重量挙部出身を誇りに思っていたが、そういう事件もあって今はそう思えない。胸を張って言えない、あそこ出身ということを」
難波容疑者は調べに対して「寄付金として保護者の了解を取り付けてもらったお金という認識だった。私的に使用した寄付金は一切ない」と話しているということです。