北海道の羅臼岳で15日午後、遺体が発見されました。ヒグマに襲われて行方不明となっている男性との関連を警察が確認しています。
■クマ襲撃か?血痕シャツも
14日に20代の男性がクマに襲われた羅臼岳。世界有数のヒグマの生息地として知られる、知床半島の中央に位置しています。
男性が襲われた羅臼岳の登山道にあるオホーツク展望と呼ばれる場所の映像。クマに襲われた男性は登山道から林の中に引きずり込まれ、行方が分からなくなっています。
警察によりますと、15日午後1時ごろ、男性が襲われた現場近くでヒグマ3頭を発見。親グマ1頭と子グマ2頭がハンターによって駆除されたということです。
現在、男性を襲った個体かどうか調べるとともに、引き続き男性の捜索が続いています。
これまでに男性のものとみられる紺色のシャツ、破れたズボン、腕時計、キャップ、催涙スプレー、さらに男性名義のクレジットカードが入った財布などが見つかったということです。
「友人がヒグマに襲われた」と通報が入ったのは14日午前11時すぎのこと。通報した男性によりますと、200メートルほど前を歩いていた友人から名前を呼ばれて近付くと、クマに襲われている場面に遭遇。友人は太ももから出血した状態で、登山道脇の林の中へ引きずりこまれていました。
クマの生態に詳しい北海道大学大学院 下鶴倫人准教授 「世界的に見てもヒグマの生息密度が高い地域ではあるので、ヒグマに遭遇する機会は他の山に比べると高いと言える。恐らく300頭前後のクマが生息している状況にあったと」
地元の人は羅臼岳のクマについて、こう話します。
地元の人 「昔は人間を見ると逃げていた。今、寄ってきますから慣れすぎて。慣れすぎるってことは、いずれ事故があるんじゃないかと」
羅臼岳は標高1661メートル。登山口から約3、40分登った場所に男性が襲われたオホーツク展望はあります。
3日前の12日午前8時半ごろにも登山者がヒグマと遭遇する事案が発生。場所は弥三吉水と銀冷水間の登山道でクマ撃退スプレーを噴射したものの、その後も数分間にわたってヒグマに付きまとわれたということです。
羅臼岳のヒグマは他の地域のヒグマとは少し違う特徴があると専門家は話します。
クマの生態に詳しい北海道大学大学院 下鶴倫人准教授 「知床国立公園内に住むクマというのは比較的、日中の活動性が高くて、つまり朝方から夕方まで比較的どの時間帯も活動している傾向にありました。その点、他の地域のヒグマとは少し違う状況にあると思います」
斜里町によりますと、15日午後に羅臼岳で遺体を発見。警察は見つかった遺体がクマに襲われて行方不明となっている20代の男性の可能性があるとみて身元の確認を進めています。
■生活圏に侵入 食害相次ぐ
北海道でのヒグマによる被害は羅臼岳ではありません。江差町では先月下旬から作物の被害が相次いでいます。
深夜、住宅の目の前にある家庭菜園に姿を見せたヒグマ。狙われたのはスイカでした。
スイカなどが食い荒らされる被害が5日連続で確認されている江差町。味をしめたのか、今月15日朝も20個のスイカが食い荒らされているのを住人の男性が見つけました。
被害に遭った住人 「よほどおなかが空いているのか、熟れていないスイカまで食べている。うちのかみさんは来年スイカを作らないと言っている」
町全域にヒグマ注意報を発表し、注意を呼び掛けています。