防災の話題をお伝えする「こつこつ防災」。
これから本格的な大雨や台風のシーズンに入っていきますが、岡山・香川の気象台は大きな被害が想定される場合に、「○○の大雨に匹敵する」など過去の事例を用いた呼び掛けを行う方針です。このような呼び掛けの狙いを聞きました。
(高松地方気象台/中平昭彦 防災気象官)
「過去の大雨災害に匹敵するような状況であるとお伝えしていくことでより理解していただけるのではないかということで、気象台の危機感をお伝えしていく」
2019年、気象庁は台風への警戒を呼び掛けるため、1958年の「狩野川台風に匹敵する大雨」と表現しました。
住民により危機感を伝えるために「過去の事例」を引き合いに出したものですが、このような発表が今後、岡山・香川の気象台からもあるかもしれません。
高松地方気象台は想定される被害を踏まえて、香川県で過去に発生した5つの事例を引用する方針です。
高潮による被害が想定される場合に引用されるのが、2004年の台風16号です。この時は台風と大潮の時期が重なり、高松港では246センチと観測開始以来最も高い潮位を記録、2万棟以上が床上・床下浸水しました。
また、小豆島を中心に大きな被害が出た1976年の豪雨も大雨の「過去事例」として引用される可能性があります。
岡山地方気象台は、中国地方で起きた4つの事例を引用する方針です。2018年の西日本豪雨もその1つです。このときは4日間で7月の月間降水量の2倍の雨が降りました。
状況が少し違っても、同じような被害が想定される場合には過去事例を引用します。一方、過去事例を用いた呼び掛けには課題もあります。
(高松地方気象台/中平昭彦 防災気象官)
「あまり古すぎると皆さんの記憶に残ってないということが一つあります。身近なところでより大きな災害ということで、一つ選定の条件として挙げている」
気象台も住民に危機感を伝えるために試行錯誤を続けています。確かなのは、過去の事例を引用するケースは過去の大きな災害に匹敵するということなので、より一層の警戒が必要です。