香川県議会議員の2013年度の政務活動費をめぐる裁判です。
2021年4月、高松地裁が支出の一部を「違法」と認定し、県側が控訴していましたが、当時の県議らが返還に応じる方針を固めたことがKSBの取材で分かりました。
この裁判は、市民オンブズ香川が2013年度の香川県議の政務活動費に「違法な支出がある」として、県議に返還させるよう知事に求めたものです。
裁判で争点となったのが自治会の総会や祭りの実行委員会などへの「意見交換会費」名目の支出です。金額は5000円や1万円というキリがいい数字で、県議が領収書を自作しているケースも多く見られました。
2021年4月、高松地裁は意見交換会費について「政務活動との合理的関連性がない」などとしてほぼ全てを違法と認定。当時の県議23人に総額約970万円の返還を求めるよう知事に命じ、県側が控訴していました。
複数の会派の県議への取材によると、県議らは地裁判決を受け入れ、返還に応じる方針を固めました。被告の香川県は控訴を取り下げる見通しです。
(記者リポート)
「裁判の補助参加人として控訴審でも一貫して争う姿勢を見せていた議員たち。急転直下とも思える方針転換の背景には検察の動きがありました」
2021年6月、市民オンブズ香川は2018年度と2019年度に県議と元県議、合わせて21人が選挙区内の団体に「意見交換会費」を支出したのは寄付行為を禁じた公職選挙法違反の疑いがあるとして高松地検に告発状を提出。地検は、これを受理するかどうか判断するため8月中旬以降、任意で県議らから事情を聴いていました。
2021年6月には菅原一秀・元経済産業大臣が、祭りや敬老会といった選挙区内の行事で「ご祝儀」などとして約80万円分の違法な寄付をした罪で罰金と公民権停止3年の略式命令を受けています。
検察の聴取を受けた県議の1人は「各種会合での意見交換会費は議会の政務活動費マニュアルに基づく適正な支出だと認識していたが、検察官から公選法に抵触する可能性を指摘され、返還しなければと思った」と話します。
そして、会派間で議論を重ねた結果、告発の対象となった2018、19年度分の意見交換会費の返還手続きを進めるとともに、裁判になっている2013年度分も地裁判決の返還命令に応じる方針を固めました。
(原告 市民オンブズ香川/植田真紀 代表)
「私たちとしては、返したらそれでいいのかと。返したらそれで終わりということでは納得できないという思いはあります。自分たちが使ったお金を県民にオープンにして透明性を高めていこうとしてもらうことは最低限お願いしたい」
香川県議会では今後、政務活動費マニュアルの見直しに向けた議論を行う方針です。