ニュース

特集

【解説】駄菓子も…食料品などで値上げラッシュ 「消費の習慣」見直しで対策を

ADVERTISEMENT

ADVERTISEMENT


 2022年はいろいろなものが値上がりしていて、4月に入っても食用油やケチャップ、チーズなどが値上げされています。さらに、「1本10円」が当たり前だった人気の駄菓子も初めての値上げされました。

 スーパーや駄菓子屋はそれぞれ対策に追われています。今回は、この春の「値上げラッシュ」について解説します。

「食べ切れるサイズ」で価格を抑えるスーパー

 高松市のスーパー「コープ栗林」では、2022年に入って食用油や小麦粉、スパゲッティなど、多くの食料品の販売価格を1割ほど引き上げました。インスタントコーヒーの中には2割ほど値上げしたものもあります。

(コープかがわ コープ栗林/吉川岳彦 副店長)
「今年に入って特に値上げの商品が増えております。お総菜も原料の値上げが続いておりまして、容器・プラスチック関係も値上げが続いておりますので、どうしても値上げせざるを得ない状況が出ております」

 コープ栗林では、半分のサイズの総菜など価格を抑えた商品も選べるようにしています。

(コープかがわ コープ栗林/吉川岳彦 副店長)
「値上げになってる商品に関しては仕方ない部分はあるんですけど、食べ切れるサイズの量目を消費者の方に提案して、お買い求めやすい価格で提供させていただきたい」

駄菓子にも値上げの波 対応に追われる店

 また、お手頃価格が売りの駄菓子にも値上げの波が押し寄せています。岡山県瀬戸内市の「日本一のだがし売場」は約4000種類の駄菓子を取り扱っています。

 3月31日、従業員はシールの貼り替え作業に追われていました。

(「日本一のだがし売場」を運営する「大町」/秋山創一朗 専務)
「ちょこちょこメーカーの値上げのご案内とかありまして、その都度対応していたんですけど、今回はかなり数が多かった」

 ピンク色が鮮やかな「さくら大根」は10円アップ(50円→60円)、砂糖を表面にまぶしたあめ「花束」は20円アップ(120円→140円)。4月1日にはオープン以来最も多い45種類を値上げしました。

(「日本一のだがし売場」を運営する「大町」/秋山創一朗 専務)
「今後5月、6月、7月くらいまで値上げのご案内もメーカー様から届いていますので、随時、値上げするものは増えていく可能性はございます」

 「日本一のだがし売場」によると、2022年に入って、メーカーからは約200種類の駄菓子に関して値上げの知らせが届いたということです。主な理由は「原材料費の高騰」。包装資材や配送の費用も高まっているといいます。

 その中でも注目されたのが「うまい棒」です。製造元の「やおきん」は、4月の出荷分からメーカー希望小売価格を10円から12円に引き上げると発表しました。それでも……。

(「日本一のだがし売場」を運営する「大町」/秋山創一朗 専務)
「10円価格の商品はできる限り値上げをせずにいきたいなと」

「単体の駄菓子はできるだけ価格を据え置く」その思いとは

(記者リポート)
「こちらの店では『うまい棒』1本は10円のまま据え置きますが、その代わり、30本のまとめ売りを20円値上げします(280円→300円)」

 「日本一のだがし売場」では、単体の駄菓子についてはできるだけ価格を据え置き、まとめ売りを値上げしました。4月の値上げも半分ほどはまとめ売りの商品です。この決断の背景にあったのは、子どもたちの存在です。

(駄菓子を購入した子どもは―)
「電卓でお金を計算してる」
「11円とかはなかったから計算しやすかった」

(「日本一のだがし売場」を運営する「大町」/秋山創一朗 専務)
「一番うちのお店で大切にしているのは、子どもたちが親からいただいたお小遣いをもって、自分で計算しながら商品を選んでもらう(こと)。11円、12円、13円というややこしい単位になってしまうと、小さい子どもたちが困ってしまうなと」

 低価格の駄菓子は消費税やメーカー希望小売価格の値上げを反映させにくい傾向があります。しかし、価格を据え置くと当然、店の負担は増えます。

(「日本一のだがし売場」を運営する「大町」/秋山創一朗 専務)
「実際ちょっと計算して、年間で(売り上げが)かなり減る部分はあると思うんですけど、そういったところは企業努力で、他のところでどうカバーしていくのかは社員一同で考えて、今後も頑張っていきたい」

「値上げラッシュ」が家庭に与える影響は?

 改めて4月、値上げが発表されたものを見ていきます。

 政府が輸入小麦を製粉会社などに売り渡す価格は、平均で17.3%引き上げられました。これにより、麺やパンなどの価格も値上げが見込まれます。

 食料品では他に食用油やチーズ、ケチャップ、生麺類なども値上げされました。原材料価格の上昇や物流費の上昇などが主な要因です。こうした「値上げラッシュ」は家計にどれほど影響を与えるのでしょうか?

 Park KSBアプリで値上げに関するアンケートを行ったところ、半数以上の人が家計に「かなり影響がある」と答えました。

 具体的な影響や気を付けていることについては、「ケチャップなどを控え目に使う」や「おやつに買っていたシュークリームや洋菓子を減らした」などの声が寄せられました。

家計を守るために「消費の習慣」見直しを

 消費者行動に詳しい専門家は、「値上げラッシュ」から家計を守るために「消費の習慣」を変えていくことが必要だと指摘します。

(香川大学 経済学部/藤村和宏 教授)
「中国とかインドの人口規模の大きいところの経済成長が進んで豊かになることによって、彼らの輸入がどんどん増えてますので、世界中で有限な資源の奪い合いになっている。どうしても(価格は)上がらざるを得ない」

 香川大学の藤村教授は、世界の需給バランスの崩れが値上がりの要因の一つだと指摘します。「無駄な買い物」もその原因にあたるといいます。

(香川大学 経済学部/藤村和宏 教授)
「日本人の場合、スーパーに行く時に実際に決めてる商品って3割ぐらいしかなくて、7割はスーパーの中に入ってまわりながら買っていくというものがあって、結果として無駄なものも買ってしまってるし、買った結果として家に残ってしまって、最終的に捨てるものも増えてるんだろうなと思うんですね」

 「値上げ」という大きな流れの中で、家計を守りながら消費者自身が変わっていくことも大切であるといいます。

(香川大学 経済学部/藤村和宏 教授)
「有限な資源を有効に使うように、消費者が自ら考えていくっていう姿勢が必要なんじゃないかなと」

 藤村教授は他にも、規格外の野菜を安く買ったり、愛着を持って長く使うことで、出費を抑えながら需給バランスの崩れを少しでも減らしていけるとしています。

 値上げしたものは買い控えるのではなく、生活を見直していくことが大事です。

関連ニュース

あわせて読みたい

全国ニュース(ANN NEWS)

新着ニュース