北朝鮮に拉致された娘の恵子さんとの再会を願って長年、訴え続けてきた有本明弘さんが亡くなりました。96歳でした。
■有本明弘さん死去 再会かなわず
有本恵子さんの父 有本明弘さん 「これだけのことをやって、こんなことあの国がいう権利は何もないよ。それがまかり通るんだったら即やめてもらう。これは国民の声」
拉致被害者・有本恵子さんの父である有本明弘さん。北朝鮮に拉致された娘を取り戻すために戦い続けた半生でした。1983年、23歳だった有本恵子さんはイギリス留学中に旅行先のデンマークで行方不明となり、1988年に北朝鮮にいることが分かりました。
その14年後の2002年、事態が動きます。日本政府に拉致被害者として認定されたのです。
有本恵子さんの父 有本明弘さん 「もっと早く認めても良いやろ。もうこれ10年前に出てきとるんやから」
その同じ年“運命”の日朝首脳会談での北朝鮮側からの答えは5人生存、8人死亡。恵子さんについては「1988年に死亡した」としたのです。
そして、大きな進展はないまま2020年に妻の嘉代子さんが94歳で亡くなったのです。
有本恵子さんの父 有本明弘さん 「家内と知り合って70年。今は何も言葉がでえへん」
恵子さんが拉致されて42年。今月15日、明弘さんは老衰のため自宅で息を引き取りました。17日、有本さん夫婦の子どもたち、恵子さんのきょうだいたちが救出運動に対する両親の固い思いを語りました。
有本明弘さんの長女 北谷昌子さん 「父と母は拉致(救出)活動について、2人で最初から自分たちの代で終わりって決めていた。恵子のことを家の中で話題にすることは全くなかったといってもいいくらい。最初から夫婦で家族には引き継がせないことを固く決めていた」
帰国していない政府が認定する拉致被害者の親世代で健在なのは、89歳の横田早紀江さんだけとなりました。
拉致被害者 横田めぐみさんの母 横田早紀江さん 「いよいよ1人になっちゃったなっていうのがむなしい思いをしているし、(有本明弘さんは)残念な思いを持って天に召されたんじゃないかと思っている。本当に残念です」