5月3日、岡山県鏡野町で、恒例の「おんな相撲」が行われ、参加者が、それぞれの思いを胸に土俵に上がりました。
(記者リポート)
「女性同士の熱い戦いがいま、繰り広げられています。どちらも頑張れ!」
岡山県鏡野町の上齋原神社で行われた27回目の「おんな相撲」。岡山や大阪、福岡などから30人の女性が参加しました。
2024年、史上最年少で横綱となった「空ノ海」は18歳の大学生。
若き優勝候補に挑むのは、「還暦バンザイ」。年の差42歳の対決です。還暦パワーを若さではね返し、「空ノ海」がまず1勝。
これまで22回出場している「柳腰」は、5回目の優勝と「永世横綱」の座を狙います。2回戦では2024年のチャンピオン「空ノ海」が敗れる波乱も。そんな中……
(柳腰)
「あと1回(優勝)で永世横綱になれるのであと1勝欲しいんです」
柳腰は粘りの相撲で踏ん張り、準決勝進出!
(柳腰)
「もう全力でやっています。もうやるしかない、前に、前に、前に」
悲願まであと2勝……
(柳腰の家族)
「悔しい~」
(柳腰)
「残念です、また来年頑張ります」
永世横綱は持ち越しとなりましたが、柳腰は豪快な相撲で3位決定戦を制しました。
そして、見事優勝に輝いたのは柳腰を破った「カナやん」。大阪から初めて参加した2児の母です。
(初参加で横綱に/カナやん)
「本当にうれしいです。帰って子どもたちに『ママは頑張れる人だ』と言って、子どものレスリングの練習相手になろうと思っています」
11回目の参加となる津山市の「蓬郷山」こと蓬郷由希絵さん。重度知的障害をともなう自閉症の次女・結衣菜さんや家族との日常を発信するインスタグラマーとして知られています。
蓬郷家にとって、「おんな相撲」はゴールデンウィークの恒例行事。家族、親族、友人の大応援団が声援を送る中……
(蓬郷山こと/蓬郷由希絵さん)
「結衣菜は家で私の応援してくれてるかな」
2024年まで、毎年欠かさず応援に来ていた次女の結衣菜さん(中2)。自閉症の特性で人混みや騒音が苦手ですが、おんな相撲はいつも楽しみにしていたといいます。
ところが2025年は、思春期のこじらせもあいまって「家で留守番する」と宣言。
(蓬郷結衣菜さん)
「(Q.結衣菜さんは行かないの?)行かないよ。母さんの応援はしない」
(蓬郷山こと/蓬郷由希絵さん)
「いろんな苦手を押しこらえてでも行くと思っていたけど、『行かないから』って言った瞬間にマジで腰が抜けるかと思った。まあ成長なんだけど、母的にはちょっと寂しい」
由希絵さん「背中をポンってたたいて」
結衣菜さん「背中をポン!」
由希絵さん「頑張ってくるからね」
結衣菜さん「うん」
1つでも多く勝って、結衣菜さんにいい報告をしたい蓬郷山。2回戦では、両者一歩も譲らぬ展開に……
夫の哲資さんと長女の虹々菜さんも固唾を呑んで見守ります。SNSで元気づけられているというフォロワーの姿も。
(女の子)
「由希絵ちゃんがんばれ~!」
激闘を制し、3回戦へ。蓬郷山はここでも最後の最後まで意地を見せましたが……ついに力尽き、結果はベスト8。
(蓬郷山こと/蓬郷由希絵さん)
「最後めちゃくちゃ悔しかった。勝ちたかった……結衣菜が来ていたらもう1試合勝てたかもしれん」
(蓬郷山の長女/虹々菜さん)
「ケガしないか心配だったけど楽しく見られた。(女力士に)なろうとは思わないけど、見習いたいなって」
帰宅後、留守番をしていた結衣菜さんに結果を報告。
(蓬郷山こと/蓬郷由希絵さん)
「早送りして見ようとせんかった」
最初は浮かない表情で動画を見ようとしなかった結衣菜さんですが……
由希絵さん「これは母さん勝ったんだよ」
結衣菜さん「勝った!」
しばらくすると、由希絵さんが勝った動画をうれしそうに何度も見ていました。
由希絵さん「きっと行きたかったよな、『行けなかった自分』もあるんだろうな……」
哲資さん「多分そうだと思う」
由希絵さん「行きたい時に行けたらええな。行きたい場所に、我慢せずにな」